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ヤクアイランド

 週末はアメアスポーツさんのはからいで、屋久島へ行ってきた。「2017サイクリング屋久島」という島を自転車で一周するというイベントだ。一周およそ100km。休憩しながら走って8〜9時間かかるらしい。言い換えれば一日中自転車漕いでるということになる。

 アメアさんにはマビックという自転車のホイールブランドがあり、ありがたいことにそのカーボンのホイールを貸してくださるということで100kmくらいスイスイいけるだろうくらいの軽い気持ちでの参加。

 前日に鹿児島経由で屋久島入り。あらかじめ送っていた自転車はすでにマビックの人たちによってホイールが変えられており調整もばっちり。さすがに見た目もグレードアップしてかっこいい。ちょっとしたワークスレーサー気分である。

 一緒に参加したモデルの滝川ロランくんの自転車は最新式のルイガノにマビックホイールでさらにかっこいい。

 この大会はレースではなく、各人のペースで制限時間内にゴールすればいいという比較的気楽なイベント。とはいえ、人は本能としてこういう場合それなりに頑張ってしまうのである。

 道中にある4箇所のエイドステーションでは、地産のフルーツや食べ物やお菓子が振舞われており、ランチ時間にはビュッフェスタイルで色んなおかずが選べる充実ぶり。エイドステーション以外にも休憩所が別に数カ所あり、そこで飲んだ「たんかん」ジュースがとても美味であった。もちろんくし形に切られた「たんかん」も各エイドにあり、そちらもたまらん美味さである。

 コース最大の難所は世界遺産にも指定されている西部林道という森の中を縫う山道だ。事前にアメアのAさんからこの登りのつらさ、大変さを滔々と聞かされていたので覚悟はしていた。コース図で勾配グラフも見る限りウンザリするような坂である。

 行程60km過ぎくらいからこの林道は始まる。結構足に乳酸が溜まっている頃という絶好のタイミングで神は試練を与えるのである。

 だらだらと続く、細くくねくね曲がる上り坂。さらにその上に重なる高勾配の登り。ギアをいちばん軽くしてさらに軽いギアを探す渇望感と戦いながら、文字通り牛歩のごとく進む。Aさんいわく、路面の石が確認できるほどの速度。

 ハエがフレームに止まる。たまらず笑ってしまった。

 とにかく腰が痛い。もうこれ以上ムリというほんの手前で、係りの方がこの先は下だよと囁いてくれる。

 しかし昨年、夏に参加した野沢でのトレイルランニングでそんな甘言は、こちらを力づけるのための方便だと疑ってかかるクセがついているので信用しない。と思っていたら本当にそこからはずっと下りであった。

 そこからの3kmほどの下りはまるでバイクに乗っているかのようだった。もう漕がなくていい。

 この試練を乗り越え最後のエイドで休息し、最後の18kmを走るのであるが、ゴールまで残り2kmで後輪がパンク。「沈黙」のロドリコ神父並みの試練を神は与えてくださるのであった。

 なんとかレスキューの人に助けられてゴール。

 野沢以来メンタルがタフになっているので、クールにフィニッシュラインを駆け抜ける。

 それにしても軽量のホイールというのは、すばらしい。思いの外、スムーズに走り切れたのはこの軽さのおかげといっていい。

 夜はマビックのスタッフも集まり小打ち上げ。地元の居酒屋さんで地産の食材を使った美味しいものをいただく。疲れも思っていたほどではない。

 

 そして翌日。

 屋久島と言えば、縄文杉である。

 朝4時前に起床し、ガイドの方との待ち合わせ場所に。そこからさらに山道をおよそ30分。トレッキングの入り口にあるセンターに到着し、ここからが歩き。

 所要時間は行きは6時間、帰りは4時間と聞かされている。

 帰りの飛行機便の都合で通常より早めの出発をアレンジしてもらった。

 朝5時に出発。灯りのないトロッコ鉄道の線路をひたすら歩く。周りは真っ暗なのでヘッドライトは必携品。線路は枕木で凸凹しているので注意しないと足をくじく。ずっと下を見ながら歩いておよそ1時間。枕木の上に板を敷いた道にやっと到達。平なのでとても歩きやすい。このトロッコ道、約9kmほどあるそうで、なだらかな約4%勾配。途中小休憩を入れ、2時間40分ほどでコンプリート。しかしここからが山登りの本番である。

 岩や石で切り立った道なき道をひたすら登るであるが、結構な行程が階段などで整備されていてとても歩きやすい。とはいえ登山。それなりに体力、筋力は要求される。といえば控えめか。つまり結構しんどいということ。

 途中、ウィルソン株や夫婦杉、大王杉を経て縄文杉へ。

 達成はしたものの溢れ出るような達成感はない。しかし縄文杉の迫力は確かにすごい。現在は10数メートル離れた地点でしか見られないのが残念だが、息を飲む存在感は確実にある。根を踏むと木が弱まるので近くへの接近は数年前から禁止なのだそうだ。

 とにかくガイドさんの話が面白い。杉にまつわることすべて、そして林業の現在、代替エネルギーの話から、江戸時代の徴税制度、さらには屋久島の歴史やら世界史などにも言及しながら行程中ずっとしゃべりっぱなし。

 観光は教養がないと十分に楽しめないということをまた改めて感じさせられるのであった。

 帰りもスムーズに下山でき、しめて数度の休憩とお弁当タイム合わせて9時間ほどのエクスカーション。

 さすがに最後、延々と続くトロッコ道の下では誰もが疲れで無言になっていたが。

 月に35日雨が降ると言われる屋久島で、天気に恵まれたのは本当に良かった。

 ところでこのトロッコ道、自転車で登り下りたりできたらいいのにな、と思うのは罰当たりでしょうか。

 

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こうした絶景を見ながら屋久島の海岸線に沿ってサイクリングするのである。

 

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在来種である島猿の西部林道では当たり前の風景。野生の鹿ももちろんそこここ。

 

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無事ゴールした後の記念の我が愛機。黒く鈍く光っているがマビックのホイール。かっこいいのと軽いので欲しくなった。

 

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戦い済んで日が暮れて。

 

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トビウオの姿揚げ。生前を偲ぶ姿。合掌していただく。

 

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ウィルソン杉の内部から上を除くとハート型になるとどこかの雑誌が発見し、いまやこのショットはこのツアー名物となっているらしい。

 

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展望デッキからの縄文杉。写真にするとこじんまりしているのが悲しい。

幹の直径は8メーター以上だから結構でかいよ。

 

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角度を変えてもう一枚。木が斜めってるんじゃなく、木の立ってるのが斜面なのである。

 

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延々と続く帰りのトロッコ道。ひたすら歩くのである。