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芸術家は猫を愛し、兵士は犬を愛する by デズモンド・モリス

 小さい頃、どこにでも野良犬はいた。気のいい誰かが不定期に餌を与えていることもあれば、ゴミ箱をあさってなんとか生きながらえているような個体もいた。どういうわけか犬は少年をターゲットにして吠えかかってきたりする。不思議と大人には歯向かわないが、自転車に乗ってる少年などにはけたたましく吠えながら追いかけてきたりしたものである。自分もそういう犬に何度か追いかけられたことがある。同級生などは、二人乗りの自転車の後ろでそういう犬にヒールキックを食らわしてやったと鼻息荒く武勇伝を語ったものだ。そういうやつに限って家で犬飼っていたりして、生き物に優しかったりする。

 会社の近くに犬用品を売っているお店があり、コーギー犬が何匹かいる。以前は6〜7匹はいたと思うが、天に召されていまでは2~3匹見かける程度。普段は家の中に潜んでいるその犬たちなのだが、このところその家の前を通るたびにけたたましくぼくに向かって吠えるのである。他の人にはあまり吠えない。なぜかぼくにだけ吠えるのである。しかも面と向かっては反応せず、ガラス戸越しにいると吠えるのだ。

 犬がどんな理由で人に吠えるのか皆目見当がつかないが、今日も朝、コンビニにコーヒー買いに行く途中、散歩中のチワワ犬に尋常ではないくらい吠えまくられ威嚇されてしまった。なにかぼくの中に特殊な匂いを出す汗腺かなにかが開発されたのだろうか。最近とにかくこのように犬に威嚇されるケースが多い。

 実はぼくはあまり犬が好きではない。特にまとわりつかれてベロベロ舐められるのがとてもいやだ。あ、わんちゃん、といって犬を見かけたらちょっかい出す人もいるが、あれはできない。むしろ関わりたくない。似たようなところで赤ちゃんに対してもそうだ。かわいいねえ、なんてアプローチして、手を握ったり抱っこしたりという対処の仕方というかキューの出し方がわかんない。そういうとどこか人非人のように聞こえるが、悪党ではなくいたって平凡な市民である。

 どちらかというの猫派。亡くなった父もそうだった。小さいころ数匹の猫を飼っていた。飼っていたというより、餌をあげていたというほうが近い。あのころの猫は寝るときと餌をもらうときだけ家に戻ってきて、それ以外は自由気ままに外をほっつき歩いていた。なんだかそういう猫の人に媚びない適当なところというか距離感がいいんだと思う。

 我がオフィスの周りにもそういうどこに所属しているのか不明な猫が数匹いる。スタッフの話では、見知らぬ女性が毎日餌をやっているという。まるまると肥えて栄養状態もいいから間違いない。その猫がここ数日発情期なのか、これまたけたたましく唸っている。

 こういう雨の日はあの猫たちが一体どこに潜んでいるのか気になるのである。